お城の廊下で向こうから歩いてくる魔王を見つけたスミレは、嬉しくなって犬のように駆け寄りました。
「こら、スミレ、裾!」
ロングドレスに構わず全力で駆けてくるスミレに、魔王は転びはしないかとヒヤッとして注意しました。慌ててドレスをたくしあげるスミレ。しかし足を止めずにたちまち魔王のところにやって来て、勢いよく抱きつきました。
スミレは時々こうしてドレスに構わず走り出してしまい、たまに派手に転ぶので、まわりの皆はいつもスミレに注意していました。しかし本来スミレは決してドジではありません。ドレスに慣れていないので、気が回らないのです。
「魔王!暇なのか?」
「暇じゃない。移動してるだけ」
「なあんだ……」
冷たくかわされてスミレは少ししょんぼりしました。
しかし昼間はなかなか捕獲できない魔王を捕獲したスミレは、今のうちにとしがみついて魔王の胸に顔を擦り付けました。
「やっぱり男っていいなあ」
何か裏がありそうな言い方をするスミレに不信感を抱いた魔王は眉をひそめました。
「……どういう意味だ」
スミレは疑う魔王に気付かず言葉を続けました。
「わたしは、今まで一人でも生きられると思ってきたが、男に抱き締められる幸せを知ったら、もう一人では生きられないよ」
「なぜ今急にそんなことを言う?浮気でもしたのか?」
珍しく女のようなことを言い出すスミレに、魔王の不信感はどんどん膨れ上がります。スミレは思ったことを口にしただけだったので、疑われて驚きました。
「思ったことを言っただけだが?」
「本当に……?」
何か疑われていると気づいたスミレは真意を伝えました。
「魔王は細身だが、やはり身長もあるし、意外と胸が広いから、抱き締められると安心するんだ。妙に男だなって思う。そう思っただけなんだが」
それを聞いて魔王はスミレが羨ましくなりました。どんな感じがするのか気になります。
「スミレはいいなあ!いつも私にだっこされて!」
「何拗ねてるんだ?別にわたしがおまえをだっこしてもいいんだぞ?」
「スミレは小さいから面白くない」
「それは、仕方ないな」
急に子供のように拗ね始める魔王に、スミレは困りました。褒めようと思ったことを羨ましがられたのですから。
魔王はもう我慢ができなくなりスミレを引き剥がしました。
「いいもん!アスターにだっこしてもらうから!」
その日の夜。魔王は魔界のアスターの寝床に赴き、仰向けのアスターの胸の上に寝そべりました。
「うーん、やっぱりでかいやつにだっこされるのは安心するものだな」
うつ伏せに寝そべり、アスターの鮫肌の胸を撫でる魔王。アスターは昔を懐かしんで魔王を抱き締めました。
「思い出しますなあ。まだ魔王様が幼かった頃、こうやってよく眠りましたね」
「うむ。懐かしいな。もう何年もこうしてなかったな」
魔王がうとうとし始めたとき、部屋の扉が開きました。大きな扉だったので少し開いて事足りました。スミレです。
「魔王!どこに行ったのかと思ったら!アスターと浮気か!」
アスターはおろおろしました。そういえば魔王は今はスミレのものです。
「う、浮気なんて滅相もありません、これは、その……!」
しかし狼狽えるアスターをよそに魔王はスミレを煽るようなことを言います。
「アスターにだっこされて何が悪い!私は昔からアスターが大好きだ!」
スミレはかちんときました。浮気ではないと解りきっているのですが、愛を正当化されて面白くありません。
「このっ、貴様、わたしには好きだなんて言わないくせに、アスターだとサラッと言うんだな……!」
「だって大好きだもん!」
スミレは頭に来てアスターの胸によじ登りました。
「そんなこと言うならわたしもアスターにだっこされる!」
そう言うなりスミレはアスターの胸にうつ伏せになりました。するとどうでしょう。アスターの胸はひんやりしていて適度に柔らかく弾力があり、とても気持ちがいいではありませんか。
「あっ、これ気持ちいい。落ち着く」
うとうとし始めるスミレに嫉妬した魔王は、彼女を蹴落としました。
「いっ……!なに……す……」
勢いよく床に落とされたスミレは全身の痛みに呼吸もままなりません。
「アスターは私のものなの!」
アスターは困り果てて、喧嘩する二人をなだめました。
「スミレ様大丈夫ですか?魔王様、よいではありませんか。私は二人に乗られてもちっとも苦ではありません。仲良くなさってください」
こうして二人は渋々仲直りし、この夜は三人で仲良く眠りましたとさ。
「こら、スミレ、裾!」
ロングドレスに構わず全力で駆けてくるスミレに、魔王は転びはしないかとヒヤッとして注意しました。慌ててドレスをたくしあげるスミレ。しかし足を止めずにたちまち魔王のところにやって来て、勢いよく抱きつきました。
スミレは時々こうしてドレスに構わず走り出してしまい、たまに派手に転ぶので、まわりの皆はいつもスミレに注意していました。しかし本来スミレは決してドジではありません。ドレスに慣れていないので、気が回らないのです。
「魔王!暇なのか?」
「暇じゃない。移動してるだけ」
「なあんだ……」
冷たくかわされてスミレは少ししょんぼりしました。
しかし昼間はなかなか捕獲できない魔王を捕獲したスミレは、今のうちにとしがみついて魔王の胸に顔を擦り付けました。
「やっぱり男っていいなあ」
何か裏がありそうな言い方をするスミレに不信感を抱いた魔王は眉をひそめました。
「……どういう意味だ」
スミレは疑う魔王に気付かず言葉を続けました。
「わたしは、今まで一人でも生きられると思ってきたが、男に抱き締められる幸せを知ったら、もう一人では生きられないよ」
「なぜ今急にそんなことを言う?浮気でもしたのか?」
珍しく女のようなことを言い出すスミレに、魔王の不信感はどんどん膨れ上がります。スミレは思ったことを口にしただけだったので、疑われて驚きました。
「思ったことを言っただけだが?」
「本当に……?」
何か疑われていると気づいたスミレは真意を伝えました。
「魔王は細身だが、やはり身長もあるし、意外と胸が広いから、抱き締められると安心するんだ。妙に男だなって思う。そう思っただけなんだが」
それを聞いて魔王はスミレが羨ましくなりました。どんな感じがするのか気になります。
「スミレはいいなあ!いつも私にだっこされて!」
「何拗ねてるんだ?別にわたしがおまえをだっこしてもいいんだぞ?」
「スミレは小さいから面白くない」
「それは、仕方ないな」
急に子供のように拗ね始める魔王に、スミレは困りました。褒めようと思ったことを羨ましがられたのですから。
魔王はもう我慢ができなくなりスミレを引き剥がしました。
「いいもん!アスターにだっこしてもらうから!」
その日の夜。魔王は魔界のアスターの寝床に赴き、仰向けのアスターの胸の上に寝そべりました。
「うーん、やっぱりでかいやつにだっこされるのは安心するものだな」
うつ伏せに寝そべり、アスターの鮫肌の胸を撫でる魔王。アスターは昔を懐かしんで魔王を抱き締めました。
「思い出しますなあ。まだ魔王様が幼かった頃、こうやってよく眠りましたね」
「うむ。懐かしいな。もう何年もこうしてなかったな」
魔王がうとうとし始めたとき、部屋の扉が開きました。大きな扉だったので少し開いて事足りました。スミレです。
「魔王!どこに行ったのかと思ったら!アスターと浮気か!」
アスターはおろおろしました。そういえば魔王は今はスミレのものです。
「う、浮気なんて滅相もありません、これは、その……!」
しかし狼狽えるアスターをよそに魔王はスミレを煽るようなことを言います。
「アスターにだっこされて何が悪い!私は昔からアスターが大好きだ!」
スミレはかちんときました。浮気ではないと解りきっているのですが、愛を正当化されて面白くありません。
「このっ、貴様、わたしには好きだなんて言わないくせに、アスターだとサラッと言うんだな……!」
「だって大好きだもん!」
スミレは頭に来てアスターの胸によじ登りました。
「そんなこと言うならわたしもアスターにだっこされる!」
そう言うなりスミレはアスターの胸にうつ伏せになりました。するとどうでしょう。アスターの胸はひんやりしていて適度に柔らかく弾力があり、とても気持ちがいいではありませんか。
「あっ、これ気持ちいい。落ち着く」
うとうとし始めるスミレに嫉妬した魔王は、彼女を蹴落としました。
「いっ……!なに……す……」
勢いよく床に落とされたスミレは全身の痛みに呼吸もままなりません。
「アスターは私のものなの!」
アスターは困り果てて、喧嘩する二人をなだめました。
「スミレ様大丈夫ですか?魔王様、よいではありませんか。私は二人に乗られてもちっとも苦ではありません。仲良くなさってください」
こうして二人は渋々仲直りし、この夜は三人で仲良く眠りましたとさ。